人材をお求めの企業様へ

人材派遣活用のためのチェックポイント

 人材派遣は、人材派遣業者と雇用契約を結んだ労働者を自社で勤務させかつ直接指揮命令を与えるという、従来からの雇用契約とは異なるため、人材派遣を活用するためには知っておくべきポイントがあります。

 このチェックポイントは派遣労働者を使用する派遣先事業主が、人材派遣契約前から派遣就業後までの段階ごとに知っておくべき項目を列挙したものです。各項目ごとにまとめてありますので活用して下さい。なお、このチェックポイントは厚生労働省HPを参考にしました。

(1)派遣労働者を就業させることができない業務があります

派遣就業させようとしている業務は、労働者派遣が禁止されている業務ではありませんか?

 派遣労働者を就業させてはならない業務があります。

 労働者派遣法では、派遣労働者を就業させてはならない業務を次のように定めています。従って、派遣元事業主から派遣された労働者をこれらの業務に就かせることはできません。

(派遣労働者を就業させてはならない業務)

  •  港湾運送業務(港湾荷役の現場作業に係るもの)
  •  建設業務(建設の現場作業に係るもの)
  •  警備業務(警備業法上の警備業務)
  •  紹介予定派遣以外の病院等における医療関係の業務(医師、看護婦の業務など)

 派遣就業させようとしている業務は、労働者派遣が禁止されている業務(港湾運送業務、建設業務、警備業務、紹介予定派遣以外の病院等における医療関係の業務)ではありませんか?

→ 該当しない ○  ⇒  

ただし、他の法律の規定等に基づき、人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務、弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士又は行政書士の業務についても労働者派遣を行うことができませんので留意が必要です。

→ 該当する ×  ⇒  

派遣就業させることができない業務に労働者派遣を行っていた場合は、労働者派遣法違反として、派遣元事業主には罰則が科せられるほか、派遣先は厚生労働大臣から是正するよう勧告され、勧告に従わない場合はその旨が公表されます。

 労働者派遣とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、この派遣先のために労働に従事させることいい、これを業として行う場合は「労働者派遣事業」といいます。つまり次の図で表すとおり、派遣労働者と派遣元事業主との間には雇用関係が、派遣労働者と派遣先との間には指揮命令関係だけがあります。

 労働者派遣事業については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(略称:労働者派遣法)」によって、派遣元事業主及び派遣先が遵守すべきルールが定められています。

(2)派遣会社を決定します

  • 厚生労働大臣の許可を受けている、又は届出を行った適正な派遣元事業主であるか確認しましたか?
  • 派遣元事業主から許可番号又は届出受理番号が明示されましたか?

 労働者派遣事業を行うことができるのは、厚生労働大臣の許可を受け、又は届出を行った事業主だけです。派遣労働者を受け入れる際には、適正な派遣元事業主かどうか確認する必要があります。

 厚生労働大臣の許可を受けている、又は届出を行った適正な派遣元事業主であるかどうか確認しましたか?また、派遣元事業主から許可番号又は届出受理番号が明示されましたか?

→  許可番号の記載された許可証が提示された(一般労働者派遣事業) ○ ⇒  

名前などを登録しておき、派遣先が見つかった段階で雇用契約を締結し、派遣就業するいわゆる「登録型」の労働者派遣を行えるのは一般労働者派遣事業だけです。

→  届出受理番号が明示された(特定労働者派遣事業) ○ ⇒  

特定労働者派遣事業は常用雇用労働者だけを労働者派遣するものであり、上記の「登録型」を含め、常用雇用労働者以外の労働者を労働者派遣する場合は、一般労働者派遣事業の許可を受けていなければなりません。

→  許可番号や届出受理番号の明示がない × ⇒

 許可を受け又は届出を行っている事業主であるかどうか、確認する必要があります。

⇒  派遣元事業主は、許可証又は届出受理番号等を関係者から請求があったときに提示しなければならないことになっています。

→  許可を受けた(届出をした)派遣元事業主かどうかわからない ⇒  

最寄りの都道府県労働局又はハローワーク(公共職業安定所)に相談する。

⇒  許可を受けない(届出をしない)で労働者派遣事業を行った事業主には罰則が科されます。

(3)派遣労働者の人選を行います

  • 事前面接を求めませんでしたか?
  • 履歴書提出を求めませんでしたか?
  • 年齢や性別の特定をしませんでしたか?

 派遣先による事前面接や派遣先への履歴書の送付の要請といった派遣労働者を特定することを目的とする行為については禁止されています。(紹介予定派遣である場合を除きます。)

 事前面接を求めませんでしたか?履歴書提出を求めませんでしたか?

→  事前面接や履歴書の提出を求めた × ⇒  

派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為((紹介予定派遣である場合を除きます。)以下同じ。)が禁止されているだけでなく、派遣元事業主が派遣先からのこれらの要請に協力することも禁止されています。従って、派遣元事業主に提出した履歴書が派遣先で労働者派遣契約締結前に回覧されているといった場合、これらの規定に違反することとなります。

→  派遣労働者の技術や知識のレベルテストを行った ○ ⇒  

派遣元事業主は派遣労働者の希望や能力に応じた就業の機会を確保する努力義務を負っていますので、派遣元事業主が派遣就業させるに当たって必要な能力の判定を行うことは問題ありません。

⇒  なお、労働者派遣事業制度の性質上、派遣元事業主が派遣先に提供することができる派遣労働者の個人情報は、派遣先に通知すべきこととなっている事項(派遣労働者の氏名、健康保険法被保険者資格取得の確認、厚生年金保険被保険者資格取得の確認及び雇用保険法被保険者の確認の有無等)のほか、派遣労働者の業務遂行能力に関する情報に限られています。

  • 年齢や性別の特定をしませんでしたか?

→  若年者や特定の性別の派遣労働者を派遣するよう派遣先に言った × ⇒  

派遣先による派遣労働者を特定することを目的とする行為は認められておらず、また、派遣元事業主が派遣先によるそのような行為に協力することも認められていません。この「特定」とは、事前面接や履歴書の事前送付などにより個人を特定することのほか、若年者に限る、特定の性別に限るなど派遣労働者の業務遂行能力にかかわりのない属性を特定することも含みます。

⇒  労働者派遣契約に派遣労働者の性別を定めておくことも認められていません。

(4)派遣労働者の就業が始まりました

  • 食堂等を派遣労働者に利用させていますか?
  • 派遣元事業主だけでなく、派遣先にも労働基準法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法等の一定の規定が特例的に適用されることを知っていますか?

 ⇒  派遣先は、派遣労働者の受入れに際し、説明会等を実施して、派遣労働者が利用できる派遣先の各種の福利厚生に関する措置の内容や、派遣先の他の労働者との業務上の関係について説明することになっています。

 ⇒  派遣先は、派遣労働者に対して、派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、セクシュアルハラスメントの防止等適切な就業環境の維持、その雇用する労働者が通常利用している診療所、給食施設等の施設の利用に関する便宜、必要に応じた教育訓練に係る便宜を図るように努めるとともに、派遣先は、派遣元事業主の求めに応じ、派遣労働者と同種の業務に従事している労働者等の福利厚生等の実状を把握するために必要な情報を派遣元事業主に提供する等の協力をするよう努めなければならないこととなっています。

 また、派遣先は、派遣元事業主が行う教育訓練や派遣労働者の自主的な能力開発等の派遣労働者の教育訓練・能力開発について、可能な限り協力するほか、必要に応じた教育訓練に係る便宜を図るよう努めることとなっています。

 派遣元事業主だけでなく、派遣先にも労働基準法、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法等の一定の規定が特例的に適用されることを知っていますか?

 ⇒  労働基準法、労働安全衛生法等労働関係法については、原則として派遣元事業主が雇用主としての責任を負いますが、一部派遣先が責任を負うものもあります。

 ⇒  派遣元事業主は、労働者派遣法、労働基準法等の適用に関する特例等関係法令の関係者への周知の徹底を図るための措置を講ずることとなっています。

労働基準法、労働安全衛生法等労働関係法の適用関係は次のようになっています。

労働基準法

派遣元が責任を負う事項 派遣先が責任を負う事項

均等待遇
  • 男女同一賃金の原則 均等待遇
  • 強制労働の禁止
  • 強制労働の禁止
  • 公民権行使の保障
  • 労働契約

賃金

  1箇月単位の変形労働時間制、フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制の協定の締結・届出、時間外・休日労働の協定の締結・届出、事業場外労働に関する協定の締結・届出、専門業務型裁量労働制に関する協定の締結・届出

時間外・休日、深夜の割増賃金

年次有給休暇

最低年齢

年少者の証明書 労働時間、休憩、休日

労働時間及び休日(年少者)

深夜業(年少者)

危険有害業務の就業制限(年少者及び妊産婦等)

坑内労働の禁止(年少者及び女性)

帰郷旅費(年少者)

産前産後の休業  

産前産後の時間外、休日、深夜業

育児時間

生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置

徒弟の弊害の排除

職業訓練に関する特例

災害補償

就業規則

寄宿舎 徒弟の弊害の排除

申告を理由とする不利益取扱禁止

国の援助義務

法令規則の周知義務

労働者名簿

賃金台帳 申告を理由とする不利益取扱禁止

国の援助義務

法令規則の周知義務(就業規則を除く。)

記録の保存

報告の義務 記録の保存

報告の義務

労働安全衛生法

派遣元が責任を負う事項 派遣先が責任を負う事項

職場における安全衛生を確保する事業者の責務

事業者等の実施する労働災害の防止に関する措置に協力する労働者の責務

労働災害防止計画の実施に係る厚生労働大臣の勧告等

総括安全衛生管理者の選任等 職場における安全衛生を確保する事業者の責務

事業者等の実施する労働災害の防止に関する措置に協力する労働者の責務

労働災害防止計画の実施に係る厚生労働大臣の勧告等

総括安全衛生管理者の選任等

安全管理者の選任等

衛生管理者の選任等

安全衛生推進者の選任等

産業医の選任等 衛生管理者の選任等

安全衛生推進者の選任等

産業医の選任等

作業主任者の選任等

統括安全衛生責任者の選任等

元方安全衛生管理者の選任等

安全委員会

衛生委員会

安全管理者等に対する教育等 衛生委員会

安全管理者等に対する教育等

労働者の危険または健康障害を防止するための措置

事業者の講ずべき措置

労働者の遵守すべき事項

元方事業者の講ずべき措置

特定元方事業者の講ずべき措置

定期自主検査

化学物質の有害性の調査

安全衛生教育(雇入れ時、作業内容変更時) 安全衛生教育(作業内容変更時、危険有害業務就業時)

職長教育

危険有害業務従事者に対する教育 危険有害業務従事者に対する教育

就業制限

中高年齢者等についての配慮

事業者の行う安全衛生教育に対する国の援助 中高年齢者等についての配慮

事業者の行う安全衛生教育に対する国の援助

作業環境を維持管理するよう努める義務

作業環境測定

作業環境測定の結果の評価等

作業の管理

作業時間の制限

健康診断(一般健康診断等、当該健康診断結果についての意見聴取) 健康診断(有害な業務に係る健康診断等、

当該健康診断結果についての意見聴取)

健康診断(健康診断実施後の作業転換等の措置)

一般健康診断の結果通知

医師等による保健指導 健康診断(健康診断実施後の作業転換等の措置)

病者の就業禁止

健康教育等

体育活動等についての便宜供与等 健康教育等

体育活動等についての便宜供与等

安全衛生改善計画等

機械等の設置、移転に係る計画の届出、審査等

申告を理由とする不利益取扱禁止 申告を理由とする不利益取扱禁止

使用停止命令等

報告等

法令の周知

書類の保存等

事業者が行う安全衛生施設の整備等に対する国の援助

疫学的調査等 報告等

法令の周知

書類の保存等

事業者が行う安全衛生施設の整備等に対する国の援助

疫学的調査等

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

派遣元が責任を負う事項 派遣先が責任を負う事項

職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮

妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置 職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮

妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置

(5)派遣期間にはルールがあります

  • 派遣受入期間の制限を超えて派遣就業させていませんか?
  • 派遣先が派遣受入期間の制限に違反した場合、指導、雇入れ勧告、公表の制度があることを知っていますか?

  派遣先は、次のイからホまでの場合を除いて、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から派遣可能期間(派遣先の労働者の過半数を代表する者等の意見聴取を経て3年以内の派遣受入期間が定められている場合は、その定められた期間、それ以外の場合は1年)を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはなりません。(派遣受入期間の制限)

 派遣受入期間の制限を超えて派遣就業させていませんか?
(次の場合は3年又は1年を超えて派遣労働の役務の提供を受けることができます。)

  • イ.  専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務又は特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務(「政令で定める26業務」)
  • ロ.  事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定の期間内(3年以内)に完了することが見込まれるもの(「有期プロジェクト業務」)
  • ハ.  その業務が1か月間に行われる日数が、その派遣就業に係る派遣先に雇用される通常の労働者(原則として正規の従業員)の1か月間の所定労働日数に比し相当程度少なく(半分以下)、かつ、月10日以下である業務(「日数限定業務」)
  • ニ.  派遣先の労働者が産前産後休業、育児休業、産前休業に先行し、又は産後休業若しくは育児休業に後続する休業であって、母性保護又は子の養育をするための休業をする場合のその労働者の業務
  • ホ.  派遣先の労働者が介護休業及び介護休業に後続する休業であって、対象家族を介護するための休業をする場合のその労働者の業務

(業務別の派遣受入期間の制限)

業務の種類 平成16年3月1日改正後

  • イ. ロからチ以外の業務 最長3年(※1)
  • ロ. ソフトウェア開発等の政令で定める業務(「26業務(下記参照)」) 制限なし
  • ハ. 3年以内の「有期プロジェクト」業務 プロジェクト期間内は制限なし
  • 二. 「日数限定業務」(※2) 制限なし
  • ホ. 産前産後休業、育児休業等を取得する労働者の業務 制限なし
  • へ. 介護休業等を取得する労働者の業務 制限なし
  • ト. 製造業務(※3) 平成19年2月末までは1年
    その後は3年
  • チ. 中高年齢者(45歳以上)の派遣労働者のみを従事させる業務 3年(平成17年3月末までの特例)

(※1) 1年を超える派遣を受けようとする場合は、派遣先の労働者の過半数で組織する労働組合等の意見聴取が必要

(※2) その業務が1か月間に行われる日数が、派遣先の通常の労働者の所定労働日数の半分以下かつ10日以下の業務

(※3) 製造業務で、かつ、ロからヘまでの業務に該当する場合は、ロからヘの業務を適用


(派遣受入期間の制限のない業務として政令で定める26業務)

  • 1号  ソフトウェア開発の業務
  • 2号  機械設計の業務
  • 3号  放送機器操作の業務
  • 4号  放送番組等制作の業務
  • 5号  事務用機器操作の業務
  • 6号  通訳、翻訳、速記の業務
  • 7号  秘書の業務
  • 8号  ファイリングの業務
  • 9号  調査の業務
  • 10号  財務処理の業務
  • 11号  取引文書作成の業務
  • 12号  デモンストレーションの業務
  • 13号  添乗の業務
  • 14号  建築物清掃の業務
  • 15号  建築設備運転、点検、整備の業務
  • 16号  案内・受付、駐車場管理等の業務
  • 17号  研究開発の業務
  • 18号  事業の実施体制の企画、立案の業務
  • 19号  書籍等の制作・編集の業務
  • 20号  広告デザインの業務
  • 21号  インテリアコーディネータの業務
  • 22号  アナウンサー
  • 23号  OAインストラクションの業務
  • 24号  テレマーケティングの営業の業務
  • 25号  セールスエンジニアの営業の業務
  • 26号  放送番組等における大道具・小道具の業務

  派遣先が派遣受入期間の制限に違反していた場合、派遣先への是正のための指導、雇入れ勧告、公表の制度があることを知っていますか?

→  上記のイからホ以外の業務(派遣期間の制限のある業務)で派遣就業させているが、派遣されてから派遣受入期間の制限を超えている。 × ⇒  

派遣先が派遣受入期間の制限に違反して労働者派遣を受けていた場合、その派遣労働者を雇い入れるよう指導されます。この指導にも関わらず、派遣労働者を雇い入れない場合は、厚生労働大臣はその派遣労働者を雇い入れるよう勧告(派遣労働者が派遣先に雇い入れられることを希望しない場合は、派遣受入期間の制限違反を是正するよう指導、勧告)し、この勧告に従わない場合は、派遣先の企業名等が公表されます。

(6)派遣期間がもうすぐ終了します

  • 派遣労働者に派遣停止の通知をしましたか?
  • 派遣先に雇用契約の申込み義務があることを知っていますか?
  • 派遣先に雇用の努力義務があることを知っていますか?
  • 派遣労働者に派遣停止の通知をしましたか?(政令で定める業務(26業務)の場合など一部例外があります。)

→  派遣停止の通知をしていない × ⇒  

派遣元事業主は、派遣先が派遣受入期間の制限に抵触することとなる最初の日の1か月前から前日までの間に、派遣受入期間の制限に抵触する日以降継続して労働者派遣を行わない旨を、派遣労働者に対し文書で通知しなければならないこととなっています。

派遣先に雇用契約の申込み義務があることを知っていますか?

 ⇒  雇用契約の申込み義務には2種類あります。

⇒ (1) 派遣受入期間の制限がある業務

派遣受入期間の制限に抵触する日以降、派遣労働者を使用しようとする場合は、派遣先は、抵触日の前日までに、派遣先に雇用されることを希望する当該派遣労働者に対し、雇用契約の申込みをしなければなりません。
  派遣労働者がその派遣先に雇用されることを希望しているかどうかは、雇用契約の申込み義務が課せられている派遣先が、自ら派遣労働者に希望の有無を確認することにより把握しなければならないこととなっています。

(2) 派遣受入期間の制限がない業務

  派遣先は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して同一の派遣労働者から役務の提供を受けている場合において、同一の業務に労働者を従事させるため、3年が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、同一の派遣労働者に対し、雇用契約の申込みをしなければなりません。

派遣先に雇用の努力義務があることを知っていますか?

 ⇒  派遣先は、派遣就業の場所ごとの同一の業務(派遣受入期間の制限がある業務に限ります。)について派遣元事業主から継続して1年以上派遣受入期間以内の期間派遣労働者を受け入れていた場合であって、引き続き同一の業務に労働者を従事させるためその派遣実施期間(派遣労働者を受け入れていた期間)が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、その同一の業務に派遣実施期間従事した派遣労働者を遅滞なく雇い入れるよう努めなければなりません。

 この雇入れの努力義務が生じるのは、次の及びの要件を満たす派遣労働者です。  ○ 派遣実施期間が経過した日までに、派遣先に雇用されて同一の業務に従事することを希望する旨を派遣先に申し出たこと。
  ○ 派遣実施期間が経過した日から起算して7日以内に派遣元事業主との雇用関係が終了したこと。

  ⇒  この努力義務は、労働者を雇用しようとする場合の優先雇用の努力義務であり、この義務は、同一の業務について継続して1年以上3年以内の期間派遣就業していた派遣労働者に対してのみ生じます。したがって、派遣期間の制限とは別のルールです。

(7)派遣就業中にトラブルが発生しました

  • 派遣労働者は派遣先事業主に苦情の申出をすることができることを知っていますか?
  • 苦情を申し出た派遣労働者に解雇など不利益な取扱いをしませんでしたか?
  • 派遣就業に関する違法事案について派遣労働者は厚生労働大臣に申告できることを知っていますか?
  • 派遣労働者は派遣先事業主及び派遣元事業主に苦情の申出をすることができることを知っていますか?

 ⇒  派遣元、派遣先のそれぞれについて選任の必要のある派遣先責任者及び派遣元責任者が、派遣労働者からの苦情処理の義務を負っています。

  ⇒  派遣先は、派遣労働者の受入れに際し、説明会等を実施して、派遣労働者の苦情の申出を受ける者、派遣先において苦情の処理をする方法、派遣元事業主と派遣先との連携を図るための体制等を労働者派遣契約において定め、また、その内容については派遣労働者の受入れに際し、派遣労働者に説明することとされています。

  苦情を申し出た派遣労働者に解雇など不利益な取扱いをしませんでしたか?

→  苦情を申し出たので解雇その他不利益な取扱いをした × ⇒

 派遣先事業主及び派遣元事業主は、派遣労働者から苦情の申出を受けたことを理由として不利益な取扱いをしてはなりません。

派遣就業に関する違法事案について派遣労働者は厚生労働大臣に申告できることを知っていますか?

→  厚生労働大臣に申告したため解雇その他不利益な取扱いをした × ⇒

派遣就業に関する違法な事案がある場合には、派遣労働者は厚生労働大臣にその事実を申告することができますが、申告したことを理由として派遣先事業主及び派遣元事業主は、派遣労働者に対し解雇その他不利益な取扱いをすることは禁止されています。

⇒  これに違反した派遣元事業主及び派遣先には罰則が科されます。

(8)派遣期間の途中で労働者派遣契約を解除しました

  • 労働者派遣契約を解除された以上、当然に解雇できると思っていませんか?
  • 労働者派遣契約の解除に当たって派遣先が講ずべき措置について知っていますか?
  • 労働者派遣契約の解除に当たって派遣元事業主が講ずべき措置について知っていますか?

労働者派遣契約が中途で解除された場合に、派遣労働者を直ちに解雇できるものではなく、派遣元事業主は派遣労働者の雇用の安定を図るため必要な措置を講じなければなりません。また、労働者派遣契約の解除が専ら派遣先に起因する事由による場合には、派遣先もまた派遣労働者の雇用の安定を図るための措置を講じなければなりません。

労働者派遣契約が解除された以上、当然に解雇できると思っていませんか?

→  労働者派遣契約が解除された以上、当然に解雇できると考える × ⇒

派遣先事業主と派遣元事業主との間の労働者派遣契約が解除されても、派遣労働者と派遣元事業主との間の雇用関係は続いています。労働者派遣契約の解除に伴って当然に派遣労働者を解雇できるものではありません。また、労働者派遣契約の解除に伴って、派遣労働者と派遣元事業主との間の労働契約期間が当然に短縮されることもありません。

労働者派遣契約の解除に当たって派遣先が講ずべき措置について知っていますか?

→  労働者派遣契約の解除の場合の措置について、就業条件明示書に明示していた ○ ⇒

労働者派遣契約の解除の場合に派遣先事業主及び派遣元事業主が講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るための措置については、就業条件の明示の際に明示すべき事項となっています。

⇒  派遣先事業主は、労働者派遣契約を解除するに当たっては、派遣労働者の雇用の安定を図るため、その派遣先の関連会社での就業をあっせんする等の措置を講ずることが求められています。